編入試験を振り返る
H30年度?の東京大学編入試験に合格しました.
書くって数人の方に約束したにも関わらずやってなかったので,頑張ります.だらだら書いていきます.
始まり
いつから?
3年の3月に徹底研究をAmazonで購入した履歴があるので,その頃から編入したいという意識はあったのだと思う.ただ,難しくて,これは教科書から復習しないとなあと感じていた.この時はまだ,まさか東京大学を受験しようなんて夢にも思ってなかった.技科大行ければいいし,特に理由もなくワンチャン阪大狙えるんじゃないの?くらいの気持ちでいた.スペック
席次 3年 1位
4年 1位数学
数学は好きだった.1年生の時に数学甲子園とか出場していた.勉強しきれていないので当然のように予選落ちしたが,いい経験になった.物理
物理も好きだった.しかし,授業の先生がやる気がなかった(もちろん生徒側に原因がある). ので授業中は僕もすやすや睡眠していた.余りにもペースが遅すぎるせいか,電磁気学なんかは高校物理の範囲をやらずに別の専門の先生が大学相当の電磁気学の授業を始めるという苦行を受けたりもした.英語
英語はほんとに嫌いだった.3年生の時に受けたTOEIC IPは300点.「もう英語を勉強しなくていいんだ!」という勝手な想像が高専に入学した理由の30%くらいを占めている.あの時は英語とか必要ないでしょwって感じだった.そういうわけで全く英語を勉強していませんでした.致命傷.
3年12月
何を思ったのか,2月のTOEICを受けることにした.部の先輩に受けておいた方がいいよって言われたのだと思う.もしかしたら編入試験勉強はここから始まっていたかもしれない.受験料5000円払ったし,本気でやるかということで金フレを購入して600点台レベルまで暗記した.その後,公式問題集を1冊やり込んで本番に臨んだ.
その結果なんと,645点を取得.ここで完全に調子に乗る.特に編入を意識して受けたわけでもなかったので勉強をやめてしまった.何点くらいが必要になるとかの情報を全く知らなかったため.
4年4~8月
とりあえず編入に関する情報を集め始めた.なんとなく機械電気情報の3つができる強い人間になりたかったので,メカトロっぽい機械科を目指していた.四力がそこそこ得意だったこともあり,試験科目に四力がある阪大をとりあえずの第一志望に決定.
ちなみにこの時期くらいに友達が悪ふざけで東大の英語の過去問をコピーして自分に見せてきた.「iPS細胞の倫理について100語で述べよ」みたいな問題を見て「これ誰が解くんだよw」と一緒に笑っていたのを覚えている.
- 数学の教科書を1から見直していた.あとは徹底研究の例題部分とか.
- 英語はForestやDuoを読んでいた.また,一般の大学受験を終えた友人にオススメされた本もやってみたが,難しすぎて諦めた.
- 物理は基礎物理学演習の力学範囲をやっていたが,全く意味が分からなかった.
平均勉強時間:2~4時間
4年夏休み
地区大会が終わったので,細々続けていた部活(剣道)を中止しました.準決勝戦前で熱中症になるという悲しい終わり方をしましたね.
この時から本格的に編入の勉強をスタートさせた.とりあえず,夏休み初日に阪大のオープンキャンパスに行ってきた.頑張るぞーって気持ちになれるので,何かしらのイベントに参加しておくのはいいことかも.
- 数学はマセマで線形代数と複素関数の予習を終わらせて,ベクトル解析を除く範囲の徹底研究を2周した.
- 英語は引続きForest,Duoを読み,新たにTOEICのPart7の問題集をやっていた.TOEICの1週間前は公式問題集を何度も繰り返した.9月の結果は驚きの745点.このおかげで自信がついた.TOEIC提出必須の大学を受験する予定がなかったので,これを機に一旦お休み.
- 力学がぼんやりとしか分からなかったのでとりあえず材料力学と熱力学の教科書を問題を解き直していた.
平均勉強時間:3~7時間
4年10~12月
東大などの難関校に合格された先輩方のお話を実際に聞く機会があった.参考書を渡してくださったり,受験に関するいろんな話を聞いた.その時に東大を受験しようと考えた.要するにきっかけは受動的でした.
各学科のホームページを巡ってて,何でもやりたい自分としてはどの学科も魅力的だったけど,いろんなことやってそうな精密工学科を第一志望にした.学科について色々調べるうち,入学後もやっていけそうだなと思ったので,第一志望に確定した.
この頃からモチベも上がり,放課後に必ず6時間勉強しようと誓いを立てた(誓っただけ).この頃から時間管理を大事にしようと考え,studyplusを開始.これが良かった.TOEIC高すぎ人間や勉強時間が狂ってる人間などがいっぱいいて刺激がもらえた.また過去問を集めて,各教科の難易度や出題範囲を調べた.
- 数学はベクトル解析の予習を始めた.これがかなり物理で助けとなった.ベクトルの微積分や外積の考え方が分かり始めて急速に物理が理解できるようになった.確率がめちゃ苦手だったので,細野さんの確率の演習本を購入.過去問をやってみると,全ての問題が難しい訳ではなく,案外6割くらい取れそうという印象だった.
- 物理の範囲が想像以上に広く,全く手をつけていなかった電磁気,波動,量子力学の勉強が必要となった.電磁気は高校範囲の分野からの復習が必要なレベルだったので,エッセンスと名問の森を購入(ついでに力学の方も).そのあとにマセマ電磁気を借りて勉強した.黄色い本も4冊揃えて,無敵になった.
- 英語は先生に教えてもらうことになった.主に長文対策と英作文.それとは別に自分は読解用にビジュアル英文とポレポレをやっていた. あとドラゴンイングリッシュ(神) .
平均勉強時間:4~6時間
冬休みと春休み
基本的に勉強内容はほとんど変わっておらず,変わったことは過去問特訓や徹底演習を新たに始めたくらい.「試験は英語以外運ゲー」みたいな良くないことも考えていたりと虚無の毎日でした.
数学はただひたすら問題を繰り返し解いていた.春休み頃には,数学に関してはあまり不安は感じていなかった.試験でみんなが解けない難問をわざわざ解く必要もないというスタンスだったので,気楽だったのかもしれない.
量子力学を開始.だいたいの内容をマセマで掴んで,図書館にあった謎の量子力学の演習書を1通りした.力学,電磁気学とともに仕上がってきたので過去問に挑戦した.けど,絶望.まず時間が足りない.数学よりも取っ掛かりを捉えにくい性質があるので,最初にどのような方針で解き進めるかが決まらない.だいたいこうだろうなぁと解き進めると訳の分からない計算量で殺される.何だこれ.数学以上にテンポよく解く必要があると実感した.
英語はリスニングを開始した.そんなに難しくはないという噂もあるけど,苦手な自分としてはかなり怖かった.それから,英語に限らず,文章は予備知識の有無で読みやすさが大きく変わると思うので試験の題材になりそうな科学系の記事を読んだりしていた.(全く意味を成さなかったけど)
平均勉強時間:8~10時間
5年4~6月
物理も何となくコツを掴み,もうやることないなあと思いながらも勉強はしていた.苦手な分野を本質的な理解ができるまでインターネットで調べたりしていた.
英語は何とか解ききれそうな力がついていたので,英検1級,準1級の社会問題や科学,倫理などを題材とする英作文の問題をやっていた.150~200語で自分なりの考えを書いて先生に添削してもらっていた.だいたい10テーマくらい書き上げて,英語っぽい論理的な文章の作法を身につけることができたと思う.(Intro→body→conclusionていう単純な流れのことだけですが...)
この時,名古屋工業大学を滑り止めとして受験した.試験内容がどうとかというより,当日の試験の流れや雰囲気を味わえるので本命の前に一つどこか受験した方がいいと思います.
平均勉強時間:8~9時間
1次試験(筆記)
名工大を受験していたにも関わらず,かなり緊張した.やっぱり雰囲気が違うわ.チョコを食べてリラックス.
英語
- リスニング噂通り簡単やんけオイ
- 語彙レベルが高かった気がする.過去問だとそこまで詰まらずに読めていたのに...
鉄壁やるべきだったかなあ - 問5の英作文が,ミニ長文問題と英作文3~5行で書けになってて,あの努力は何だったんだ...となった.Intro→body→conclusionのエッセイ風に書くのは,弱点があって,短く書けないこと.予定変更して適当に書いたので,論理性の欠如がヤバかったと思う
いろいろあったけど6~7割は取れたと実感できた.英語を無事乗り越えられたら行けるというだろうという自信を持っていたのでこの時点ではまだ安心していた.
数学
- 大丈夫そう
問2の後半と問3の最後は訳わからなかったけど,その他は基本問題.数学では差が付かなそうだなと思った.
物理
- 精神崩壊
- 量子力学が出題されそうという謎の予想を外し,熱力学の出題.さらに熱力学の範囲でも苦手な熱力学関数に関しての出題だった
とにかく厳しかった.とりあえず解けるところまでやって次の問題へ...を3周くらいしたと思う.
運が良かったのは,2体運動が苦手だったこともあり,1か月前にネットで拾った東工大の講義資料で勉強していたこと.これのおかげで落体の2体運動がだいたいどういう運動をするのかが分かっていたので,解答の道筋が立てられた.それでも,全体の出来は5割くらいだと思った.
総評として,物理が何とも言えない結果に終わってしまったので自信はなかった.それでも,実力は出し切れたので結果がどうなってても受け入れられたと思う.
2次試験(面接)
筆記試験が合格していたので面接へ.僕の面接の順番は3科目受験者の中で一番最後だったので,面接会場に少し遅く入った.先輩方の体験談には,「受験者同士で雑談してた」みたいな話があったので,みんなで色々話しているのかなと思っていたけど,みんな緊張していたせいか静まり返っていた.正直,自分も話をする余裕もないくらい緊張していたので良かったかもしれない.
面接内容
なぜ東京大学を志望したか
→要約すると,日本で一番だからと答えた.卒業研究に関する質問3つ
→現状の課題やその対策を答えた.学校の成績で体育の評価低いけど,何かあったの
→真面目にはやっていたけど,評定のシステムがよく分からなかった.高専の同級生たちの進学率,就職率を教えて
→5割進学,5割就職編入のシステムを教えて欲しい.併願とかもできるのか
→受験日が異なれば,基本的にどこでも受験できる.自分は名工大と筑波大学を併願している(阪大も受ける予定だったけど合否に影響するかも分からなかったので言わないでおいた).
終始,和やかなムードで受かっただろうなと思った.というか,ひとりの面接官に質問される前に,その人が「数学と物理が良くて英語もまあまあか...」と言われたので,そんなこと言って落としてきたら悲しすぎるよ.
結果は合格.
英語329/500 数学377/500 物理229/300でした.
物理が想像よりも良かったです.諦めずにとにかく自分が分かっていることを整理して書ききったのがよかったのかな.
アドバイス
アドバイスなんておこがましいけど,とりあえず太郎流にのっとって,書いてみます.
英語が出来ないと編入試験を生き抜くことができない
高専生にとって苦痛すぎる悲しい現実.編入試験はだいたい,3,4科目.場合によっては2科目.科目が少ない分,楽になるかと思うが,これに関してはあまりそう思わなくて.英語のウェイトが重くなるせいで,英語に対する絶対的自信みたいなのがないといけない.数学でコケたらおしまいなので.
最低でもTOEICで600点取ることができる能力があるなら,各大学の傾向を掴んで勉強することで,どこでも対応できるはず.(流石に600点くらいは必要だと思う)
ちなみにですが,自分は最後まで英語は好きになれなかった.まあでも目標のためにはやるしかない... 無理に好きになれなくても合格できます.勉強の時間配分について
英語,物理(化学も?)は時間がかかると思うので,早めに準備しておくのが吉.
真面目に高専の数学を受けてきた人なら,数学の対策は正直,すぐに終わると思う.物理は力学,電磁気だけならまだいいけど,広い範囲で出題してくる大学の場合,かなり大変なので注意が必要.東大に関して言えば,何を出題してくるか分からないっていうのは精神的に辛い.頑張ろう.自分の中に軸がなくてもいい
当時,編入について調べ始めた時,「〇〇したいから〇〇大学のこの学科に入る」とか,「この研究室に入りたいから受験する」とか,「夢があってー」という体験談しか見なくて,受験の時期に凄く悩んでしまった.正直いうと,自分にはそういう何かしたいという具体的な自分の中の軸はありませんでした(叱られそう).自分の場合は,純粋に知らないことを知りたいということが大学編入の動機にあった.だから,受験の時もそこそこ楽しみながら勉強ができた.
具体的な何かは必要ないと思う.きっかけが何であれ,挑戦しようと決めたなら合格に向かって頑張ろう.試験中は死ぬ気で
とにかく本気出しましょう.解ける解けないで一喜一憂している暇もないです.試験まで頑張って勉強してきた人なら,合格したいという気持ちが解法を導いてくれるはずです.精神次第で試験当日のパフォーマンスは100倍くらいは向上します.絶対です.
他に言いたいことは小山太郎先生の体験談で言い尽くされているので,これにてお終い.
長文駄文失礼しました.